Fujimura Chura
2023/02/20
桃花春風に笑む
「桃の花が春風に揺られ咲きほころんでいる」漢詩の中のことば
少し春めいた日もあるが桃の花が咲くのはまだまだ先
それでも情景をイメージするだけでなんとなくうれしくなる
桃の節句はいくつになってもたのしみな季。昨日は雨水しかも大安 お雛様を飾る格好の日 今年は
お内裏様だけにしようと取り出したが、三人官女の箱を覗くと
又一年、箱の中は気の毒だと取り出し飾ったそして結局五人囃子も随身も三仕丁もと。それぞれの持ち物はいいかげんで申し訳ないけれど
全員集合で仲良く並んでよかった
前に自刻したお雛様印のはがきを遠方の友人に送った
2023/01/25
瓢箪 ことばのない言霊
日々、ことばを書く 日々、ことばを刻す 自分にとってのことばは
文字だけでなく、形、線、 具象、抽象、なんでも心込めるもの。
形だけで、平安、吉祥を表現できる ものは沢山ある その中でも、
瓢、瓢箪は 不思議な外形に加えて、 空洞に霊的な何かが潜んでいるようで
神秘的に思う と感じながら、私はとてもふつうの、
よく云えば、素直なひょうたんの印を 刻る。石に刻したり、土を手びねりして。
印や書を楽しみに来てくださっている方の ご友人、丸黄うりほさんは
webマガジン「花形文化通信」に「ひょうたん日記」を書かれています。
その真摯な情熱に感動し、小さな瓢印を作りご友人通じてお渡ししました。
丸黃さんはとても喜んで下さったと聞き嬉しかったのですが、思いもよらない事に「ひょうたん日記」に、載せて下さったのです。
過去のも未来のも読みたい、興味深く 楽しい日記です
瓢箪は 面白い、いいな~と思います
2023/01/02
新しい年
新しい年が始まった。佳き一年でありますように。。。祈る。
どんな思いで一年過ごそうか、、、、。
亀甲形青磁の水滴から 瓢形の硯に一滴垂らし 松煙墨をゆっくり磨る。
忙しくても 急いで心を騒々しくさせて いい墨色にならない。 いい字にならない。
書も印刻も正直だ。 自分をありのままに映すよう 。
やり直しも加工も出来ない。 手書きは 良くも悪くも その時の自分が伝わる。
よく見せようとか 繕うことなく 日々 「今」を生きようと新たに思った。
出会っている方々 まだ出会っていない方々
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
2022/10/16
ある秋の日 のこと
いつのまにか、うちの小さな庭では金木犀が咲いていた。
この甘い香りに、青梅に住まいされている書家 村木享子さんの処にお伺いした
日を思い出す。四方に多摩連山を望む、自然豊かな美しい山里だった。
かねてより先生の著作に感銘を受けていた私は 東京の書のイベント会場で
偶然お見掛けした先生に思わずお声かけした事がきっかけとなった。
書は勿論、彫刻、ルオーのミセレーレ、マテイスの素描、、、様々な芸術が溶け込んだ
風格のある書室。御岳山が見える窓際にはアンテイークのウインザーチェア。
日が落ちると 山々は黒い大きな影になり、吹く風にお庭の銀木犀はひときわ香り、
虫の音が響いていた。鉄の燭台に灯した明かりのみ。
此処で思索を重ね、書作の鍛錬をつくされていらっしゃるのかと感慨深かった。
交流のあった井上有一、森田子龍、ドイツでの個展など 様々な話をお聴きしたこと
村木先生のボンド墨と大筆で書したこと かけがえのない時間だったとつくづく思う。
一緒に何か書きましょうと、私がまず「秋」と書き、先生が「気」と書かれた全紙の一枚。
改めて見ると自身の拙な字に赤面するが、書は一期一会。
この「秋の日」が確かに紙の上に残された。
2022/07/09
ことばを着る
実篤の、このことばがいつも心にある。
・・・
自分の精神を生かしきって仕事すること
天与のものを生かしきること
・・・・
道を歩きぬくこと・・。
昨日の 恐ろしく悲しいニュース。
有名無名 仕事の大小 全く関係ない。
人それぞれ。 同じかけがえのない 命。
胸がつまる。
先日、思い思いのTシャツを発表する企画展があった。
常々、Tシャツについて思うことあり 参加した。
擦り切れて穴があいても、心地よく馴染んだジーンズのような
経年変化が愛着となるTシャツにならないだろうかと。
古くなっても何故か手放せなかった数枚のシャツを解体し、
きれいなところを手縫いでつなぎ合わせて新しい形にした。
そして、そこに ことばを墨で書いた。
「ことばを着る」。
肌に近いTシャツは心にも近いから。
好きなものを生かしきって、まっとうさせ 旅立たせたい。
2022/03/18
ミロ と 書
数年前、色とりどりの梅や桜が美しい熱海の山の方にある旅館に飾ってもらった拙作の書。
壁に掛けられたミロとコラボしたようで嬉しくて、撮った一枚。
今、東京で興味深い展覧会が開催されている。
「ミロ展 日本を夢みて」130点の作品や資料から特にミロと書道との関係が目を引くという。
「日本好きだったミロは、和筆や和紙を収集し、線描のかすれやにじみ、はねを繰り返し試していた・・・
書道ではタブーのなぞり書きもいとわず・・・研究者によると『書の神髄より、線の濃淡や潤渇、肥痩の
効果を作品に取り込むことに興味があった』・・・」と読売新聞文化部 森田睦さんの署名記事を読んだ。
ずっと、ミロの作品に書的なものを強く感じていて、ミロの線の再現を書法で試したりしていた私は
この内容がとても興味深く、とてもとても 納得した 。
「山笑う」季節はそこまできている。
けれど 国内外、辛いことが多すぎる
運命の神様が微笑えむ春になりますように 切に願う
2022/02/23
おひなさま
昨春は久しぶりにと、お雛様お道具一式を飾った。雛壇は作らず、お内裏さま、三人官女、五人囃子、随身、仕丁、お道具等を勢揃いさせるだけで。
今年も雨水が過ぎ、そろそろ思いつつ。ようやく。お内裏さまだけを取り出した。「一年間お待たせしました」と。
この季、いつも思い出す与謝蕪村の句を書いてみた。
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